一緒に富士山登りたかった

息子を想う母のブログです

ずっと一緒

ゴールデンウィークも終わり、落ち着いた世間に戻った、ホッと一息。


看護師をしている娘の話、


つい先日、退院間近の初老の男性に呼び止められた。

ほとんど関わりのなかったその方は霊的な力があり見えるはずないものが見えるらしいと担当した仲間から聞いていたそう。


「ずっとあなたに話そうと思ってました、

あなたの側に時々若い男性がいますが心当たりありますか?」

娘は驚いて

「あります、家族だと思います」と答えた。

その人はいつもあなたの家にいる。一緒に住んでいる。家に大切な人がいて、その人と一緒にと思い、その時が来るまでいようと思っているようです」

と話された。


息子のこと以降、職場が変わり、弟を亡くしたことを知る人はいない。

人から聞いて言っているわけではなさそう。


息子の大切な人…


それは誰?


家族皆同じ思い…それはきっと愛犬のナッシィ。


幼い頃から犬が欲しくて、高2の夏にやっと我が家にやってきたワンコ、その日から全ての中心になった。

甘えてくるナッシィにどんな時でも最上級の愛情で接していた。

息子の迎えに一緒に車に乗せて行こうものなら、これが男子かと思えるほど甘い声を出して頬ずりしていた。

友人にも「はい、今日のナッシィ」と頼まれもしないのにスマホの写真を見せては親バカぶりを発揮していたそうだ。


この子とさよならしてまでどうして…

その思いがずっとあったけれど、やっぱり離れられなかったんだね。


勤務中のためゆっくり話すことも出来ず、聞きたいことも聞けず、その方は退院されていった。


「また会えるよ、必ず迎えに来てくれるから」


その方に言われた言葉が嬉しくて、とても軽やかに仕事がはかどったそうだ。


実は娘がこんな話をされたのは2度目。


2年程前にも、盲目の初老の患者さん(やはり霊的力のある方)から

「若い男性があなたの側にいる、楽しそうにしてるから大丈夫」と言われたことがある。



残念なことに、私にはそんな力がないので、真偽は分からない。

でも、

この家に一緒にいる

いつも側にいてくれる


そう信じるだけで安心感で心が満たされる。

側にいる息子に話しかけながら用事をする。

全てが見えるはずの息子を悲しませないように、辛い思いをさせないように…

その思いが最優先になる。

たまらなく悲しくなる時も、どうにか気持ちを切り替えようと努める。


息子の存在を信じていても、どこか不安で頼りなさが拭えなかった自分だけど、

信じることで救われるなら信じよう。

きっと、絶対にこれが真実。


側にいてくれるなら頑張れる。

また必ず会えるのなら、その瞬間を想像しながら待てそうな気がする。


もしかしたら…

その方の言う“息子の大切な人”が私だったら…

そんな期待を持ちつつ、ささやかな幸せに浸りながら…



息子へ

いつも側にいてくれてありがとう。

これからもずっと一緒にいられるのなら、

泣いてばかりの母さんを卒業しないとね。


ゴールデンウィークも母の日も、あなたがいてくれたなら…って、毎日想像しながら過ごしてた。

会いたくて、会いたくて、どうしようもない。




「クローバー持ってないうさぎは100円安かったけど、僕はこっちを買ったよ!」

って誇らしげに話してくれた、小4の母の日のプレゼント。

「ハッピースタンプ‼︎」って言いながら私の頬にクローバーでスタンプ押してくれたね。

嬉しかった、とても幸せだった。

このうさちゃん抱きしめながら過ごしたよ。


あなたは私の太陽で、

暖かくて明るくて大きくて、頼り甲斐のある太陽そのもの。


あなたと過ごした日々全てが私の宝物、

これからもずっと一緒。

つくし

この地に越してきて5ヶ月、

家から一丘越えるとそこは畑、畑…

朝晩の犬の散歩も今までとはまるで違う景色の中を歩く。

人影ない道を、誰にも遠慮することなく息子に語りかけながら、歌を歌いながら、歩く夕暮れの散歩は私の癒しの時間、

同じ県とは思えないほどの景色に驚きと感動を味わっている。


先日、農道を歩いているとつくしが群生していることに気が付いた。気にして見るとそこにもあそこにも…

あるはあるは、歩けばあちらこちらにたくさん…

数本を目にしたことはあっても、こんなに沢山のつくしを見るのは何十年ぶり。






つくし…懐かしいなぁ。


小学生の頃、毎年春になると父と土手につくし取りに行った思い出。

ただ、ただカゴいっぱいに摘み取るだけ、今思うと何が楽しくて取っていたのか疑問だけれど、春を感じる父と私の恒例行事になっていた。


ある年、食べられると聞いた私はカゴいっぱいに取ったつくしを母にお願いして調理してもらった。

小さなはかまを取る作業は大変だった上に、

出来た佃煮は驚くほど少なくなって、少し苦くて、

子供の私には嬉しい味ではなかった。



優しい父だった。

無口な人で、冗談を言うような父ではなかったけれど、私の話に耳を傾け、思いを理解してくれる穏やかで暖かい、陽だまりのような人だった。


つくしをきっかけに父との様々なことが思い出されて、久しぶりに父を思って涙が出た。


お父さんの娘でよかった、私幸せだったよ、

ありがとう。


亡くなって10年、

息子のことを知る前でよかったと思う。


息子に将棋を教えてくれたのも、

剣道部に入部した時、素振りに付き合ってくれたのも父だった。

父の言うことは絶対だった息子、

父の優しさは息子にもしっかり伝わっていた。



父の元に突然息子が現れた時、さぞかし驚いたことだろう。

怖い顔で一喝した後、息子の思いを聞いて、きっとぎゅっと抱きしめてくれたことと思う。

今は息子の側で優しく見守ってくれていると信じている。


いつの日かまた、父と息子に再会できることを願いながら、父から教わった人生の指針を胸に、踏ん張っていくしかないんだなと思えた。

今年もまた…

久しぶりにブログを開いた。


3年目を迎えた息子の命日、この3月はとことん気持ちが落ち込んで何もする気になれず、息子の写真を眺めては話しかける毎日だった。

まだまだ前を向けない、きっとずっと駄目かもしれない。そんな自分に焦ったり、仕方ないと諦めてみたり…



そんな中、嬉しいことが…

今年もまた息子の友人が訪ねて来てくれたこと。

3回目の命日、お墓参りを済ませ、家にまで足を運んでくれたこと。

「またお邪魔させてください」のLINEが来てからは

メニューを考えたり買い出しに行ったり…

去年の写真を見ながら皆んなの顔を思い出しては気持ちが高揚して、頑張れた。



当日は、わざわざ新幹線を使って遠方から来てくれた子も…

10名の男子が賑やかに食べて飲んで、とても楽しいひととき。

久しぶりに我が家に響く若い男性の声、笑い声、

息子がいた頃を思い出して込み上げるものがあった。

夫も娘も犬までも興奮してはしゃいでいた。


皆んなの優しい気持ちが嬉しくて、

沈みがちな3月を少しでも和らげようとしてくれている。ありがとう、皆んなの気持ち伝わってるよ。


「来年もまた来ます」の言葉を残して帰っていった。

息子が繋いでくれた大切なご縁、

息子が残していってくれた宝物だと思っている。


就職、仕事も益々忙しくなって、結婚して、子供ができて、家庭を持ったら中々自由な時間など持てなくなるから、あとどれくらいこんな時間が持てるだろう。


時々でいい、⭐︎⭐︎って面白い奴がいたよね…

思い出してくれたら、それだけで十分。


ブランクできても、落ち着いた頃、またこんな時間を持てたら…尚嬉しい。



一気に静まり返った家の中、気持ちは急降下⤵︎

反動は大きく、長引いた。


幸いにも、心配したコロナ感染者がでなかったことにはホッとしたけど…




息子へ…


こんなに早いお別れは残念だけど、

素敵な仲間に囲まれて思いっ切り青春を謳歌したね、幸せだったね。

皆んなからいろいろなエピソードを聞かされて、

あなたの無邪気に喜ぶ姿が目に見えるようで、本当に嬉しかった。

きっとあなたもこの場にいるだろうとあたりを見回してみたけど残念ながら母さんには姿は見えなかった。


でもきっと参加してたと思う、皆んなに「ありがとう」って優しい笑顔を振り撒きながら…


皆んなあなたのこと大切に想ってくれているよ。

有難いね、感謝だね。


母さんもあなたを想いながら生きていくよ。

ずっーとずっと大好きだよ。